2.やすらぎとあたたかさを感じる、居心地の良い空間
私たちの都市生活は近年ますます複雑でストレスに満ち、その多くは避けられないものとなっています。
現代の家に求められるのは、身体面でも感情面でもリラックスし安らかになれる場所、ということが最も重要な役割だと考えています。
家には、設備や構造・機能といった建物の持つ物質的な側面と同時に、感情にかかわる側面があります。
居心地の良さ、安心感、幸福感といった目に見えない価値を生み出すことが、私の家づくりの最大の目的です。
ずっと過ごしたくなってしまうようなやすらぎの空間を、家具・植物や自然素材などの力を借りて実現します。
「居心地の良さ」をつくる
居心地と一言で言っても、さまざまな要素が複雑に絡み合って私たちに影響を与えます。
気温/湿度/色彩/香り/明るさ/風通し/広さ/天井の高さ/椅子の座りやすさ/静寂/鳥の声/室内外の草花/木の葉のゆらぎ/眺め/照明/適度な囲み/水辺など
これらの要素の多くを満たし、調和を持った場所が居心地の良さという目に見えない独特の空気のようなものを生み出します。
多くの人が本能であらゆる要素を判断しながら街の中で過ごしています。お気に入りの喫茶店のいつも座る席や、広大な公園の中でいつも腰をおろしたくなるベンチなど、人は常に自分がリラックスできる環境を瞬時に判断しています。
そのような人間の本能は人によって大きく異なるものではなく、居心地の良さを生み出す多くの人に共通の心理的な法則を元に、「居心地の良さ」を計画することができると考えています。
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