FURUKAWA DESIGN OFFICE

株式会社フルカワデザインオフィス一級建築士事務所
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Book House

本の家

数千冊の蔵書と共に暮らす家。スキップフロアを採用し、天井の高い大きな窓の広々としたリビング・ダイニングを中心として、部屋ごとに雰囲気の異なる多様な空間を持つ家です。

  所在地:東京都
  構造規模:木造 地上2階
  竣工:2013年
  施工:株式会社コラム・箱根植木株式会社
  撮影:わたなべスタジオ

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DETAIL

オーナー

40代ご夫婦+子供1人
大手出版社勤務

敷地

吉祥寺から徒歩圏内に位置する、都内屈指の非常に良好な住宅地。

ご要望

出版社にお勤めなだけに、蔵書は数千冊。さらに家での仕事時間も長いため、書斎を非常に重視するとのこと。一方で、本の中に埋もれた生活とならないように、リビングルームを中心とした生活空間にはあまり本がはみ出さないようにもしたいということでした。本は大事だが、本のための家ではなく、家族のための家にして欲しい、というご要望でした。
また共働き家庭でもあるため、機能的で散らかりにくいキッチン、休日にのんびりとくつろげる広く明るいリビング、全体は自然素材の温かみのある家をご希望でした。

計画

大きなリビングと書斎、本棚、寝室の関係をスタディし続け、100以上のプランから決めたのは、リビングの天井が高く、独立した書斎を最大限確保できるスキップフロアの案でした。L字型配置のシンプルな間取りながらも、高さ方向には数センチの余裕もない、立体的にスペースを使い切ったプランです。

外観は白いシンプルな家型の中に、木の質感が強調された格子の門扉を設え、道路から室内までの道行きが実際の距離以上に感じられるデザインとしました。
家の中心はもちろんリビング・ダイニングです。天井の高い広大なリビングは、大きな窓のおかげでさらに広く明るく感じられます。大きな窓の外側には庇も設置してあるため、冬季は最大限に太陽の光を取り込み、夏季は強力な日射を完全に防ぐことができます。

それぞれの部屋は、最小は2畳の茶室のような部屋から広大なリビングまで、広さも天井の高さも様々なスペースが、シンプルな家型の中に詰まっています。

素材

床は主にナラのムク材にオイル仕上げ、水まわりは肌にやさしいコルクタイルを用いました。また、木製サッシュの窓まわりや、柱梁の構造材を現し、天井や本棚にも木を用いることで、シンプルな白い空間の中で、木の多様な質感も楽しめる住まいとなりました。
キッチン天板の白い御影岩や、玄関先と庭の土間に埋め込まれたさまざまな色の斑岩が、空間を引き締め、本物の素材感を際立たせています。

キッチン

キッチンは大きなアイランド型ですが、油汚れの処理をしやすくするためコンロは壁側に配置し、シンクまわりには御影岩の広大な作業スペースを確保しました。数人での調理・準備にも対応できる、欧米サイズのアイランドキッチンです。壁面には大きな食品庫を確保し、アイランドカウンター下にも大容量の収納が確保されています。面材や引き手等のディテールは非常にシンプルに仕上げて、非常にオープンながらも部屋に溶け込む真っ白いキッチンとしました。ホームパーティーを開きたくなるようなキッチンです。

本の部屋

書斎と廊下を数千冊の蔵書のための部屋にしました。
スキップフロアで階段を上り切った高い位置にある眺めの良い書斎は、壁3面全部を使って蔵書を収納し、本棚のデザインと合わせて大きなデスクも製作しました。
また、直射日光を避けた北側には、書庫と廊下を兼ねた「本の回廊」を設けました。

洗面と浴室

洗面は2ボウル用意し、真っ白でホテルの洗面のような雰囲気の中に、リネン類や小物等、用途に応じた収納も十分確保しました。
浴室は非常に手入れのしやすいハーフバスルームを基本に、壁面は真っ白なモザイクタイル張りとしました。

リビングから見て正面に半円形の植栽地を用意し、四季の移り変わりを身近に楽しめるよう、カエデ・ジューンベリー・セイヨウアジサイ・クリスマスローズ・ストロベリー等を植え込みました。また、アウトドアにテーブルセットを持ち出せるよう、コンクリートに花崗岩を埋め込んだ舗装も大きく確保してあります。風にそよぐ木の葉の美しさが、リビング・ダイニングに避暑地のカフェにいるような快適さをもたらしてくれます。