FURUKAWA DESIGN OFFICE

株式会社フルカワデザインオフィス一級建築士事務所
東京都渋谷区上原2-1-11-4F  tel 03-6804-8373 info@furukawa-d.com

※設計スタッフ募集中。ご希望の方はプロフィールを添えてメールでご連絡ください

DSC_0330.JPG

LUNUGANGA

ルヌガンガ

アジアンリゾート建築の祖、スリランカの建築家ジェフリー・バワが40年以上の歳月をかけてつくり上げた理想郷。大河のほとりの農家を買い取り、自らの住まいとして手を加え続け、生涯を過ごした別荘。広大な敷地内に、母屋を中心にゲストハウスやパビリオン、アートスペース、各種庭園が点在。自然・建築・庭園・家具・郷土文化・アート・動物等、あらゆる要素が渾然一体となった、理想の住空間。

  所在地:スリランカ、ベントータ郊外
  施設:別荘、ゲストハウス、アートスペース、
     あずまや、庭園等

DSC_0403.JPG

DSC_0412.JPG

DSC_0510.JPG

DSC_0551.JPG

DSC_0548.JPG

DSC_0530.JPG

DSC_0534.JPG

DSC_0533.JPG

DSC_0539.JPG

DSC_0542.JPG

DSC_0541.JPG

DSC_0757.JPG

DSC_0438.JPG

DSC_0321.JPG

DSC_0446.JPG

DSC_0728.JPG

DSC_0594.JPG

DSC_0586.JPG

DSC_0575.JPG

DSC_0588.JPG

DSC_0589.JPG

DSC_0658.JPG

DSC_0656.JPG

DSC_0456.JPG

DSC_0685.JPG

DSC_0704.JPG

DSC_0701.JPG

DSC_0466.JPG

DSC_0605.JPG

DSC_0628.JPG

DSC_0399.JPG

DSC_0343.JPG

DSC_0344.JPG

DSC_0336.JPG

DSC_0330.JPG

DSC_0364.JPG

DSC_0357.JPG

DSC_0359.JPG

DSC_0365.JPG

DSC_0377.JPG

DSC_0388.JPG

DSC_0386.JPG

DSC_0735.JPGDSC_0740.JPG

DSC_0751.JPG

DSC_0709.JPG

DSC_0711.JPG

DSC_0755.JPG

DSC_0425.JPG

LUNUGANGA(ルヌガンガ)は、スリランカを代表する建築家Jeoffrey Bawaが大河のほとりの農家を買い取り、40年以上に渡り手を加え続けて築き上げた理想郷です。
既存の民家や納屋に改築を重ねることで、自身の理想の住空間を追求しつづけた実験室のような空間。
Bawaの死後、自らの事務所の管理の元で宿泊施設として運営しているため、1日1~2組程度が宿泊できるようになっています。
ここには世界中の建築家が訪れているそうで、日本からも安藤忠雄氏や坂茂氏が訪れたとのことです。
噂に違わぬ、すばらしい空間でした・・・。

車で街中から離れること数十分。
民家もまばらなジャングルの中を抜け、こんなところに人が住んでいるのかと心配になった頃、それらしき門が現れます。
ほっとしたのもつかの間、閉ざされた門扉の傍らの呼び鈴を鳴らし、待つこと十数分。
周囲は電気や水道がしっかり通じているのかもあやしいくらいの奥深さのジャングルで、頭上では野生のサルらしきものがガサガサと動き回り、ものすごい数の鳥や何の動物だかわからない鳴き声が飛び交っています。
果たして本当にホテルとして機能しているのか、人が住んでいるかもわからないくらいです。
何かディズニーランドのジャングルクルーズやジュラシックパークの入り口のような密林感・・・。

今度は本当に人がいるのか心配になってきたところ、管理人が出迎えに来てくれたのですが、ここから先は宿泊者以外は入れないとのこと。
現れた色黒の管理人は言葉もあまり通じないため、少し恐くなってきます。
それでも、ここを見るためにはるばるスリランカまでやってきたので、おそるおそる足を踏み入れます。
庭を通り抜け、建物に近づくと・・・あまりにも何気ない住宅のエントランスが現れます。

ドアをくぐると・・・初めてただごとでないオーラが感じられます。
入り口を奥に進むと、水色の天井の細い通路と石像が出迎え、特別な空間への転換をほのめかします。
メインリビングルームに入ります。
何気ない住空間のようですが、スケールが巨大です。
天井高は3.5メートルほどあるでしょうか。家具も日本で見るようなサイズとは異なり、人間が小さく見えます。
薄暗い空間の中にイオニア式の円柱とアンティーク家具が、100年はこのままだったかのようなたたずまいで配置されていて、印象的です。
写真に取るとなんでもない部屋にも見えますが、何か時間の重みをひしひしと感じる空間です。

金色に輝く望遠鏡や石の球、壁面のアートがアクセントとなり、壁面ごとに見所をつくっています。
さらに奥には薄暗い室内とコントラストの大きい、緑に包まれた明るい屋外リビングが見えます。

建物自体は古い民家を改築したもので、それほど変わったものではないのですが、家具やアートで特別な空気をかもし出しています。
奥に進むと、緑に包まれた室内のような屋外リビングが現れます。
この場所が、LUNUGANGA全体で最も居心地の良い場所で、BAWA建築・スリランカ建築最大の特質が現れた空間でもあります。
大きなガラス窓で囲まれ、家具やソファが配置されている様は室内に見えますが、下の写真右手は完全に吹きさらしで、空気は完全に屋外です。
この完全に室内の家具をしつらえた"屋外リビング・ダイニング"が、あまりにも気持ちが良いのです。

このような空間はスリランカの民家には良くある形式らしいのですが、世界的に見ると非常に珍しい空間となっています。
BAWA建築は、この"屋外リビング"という空間を様々な形でホテルや公共施設に組み込み、居心地の良い上に独特な空間をつくり上げています。

下の写真は屋外リビング・ダイニングのさらに外側の、庇のかかった広い空間です。
このような空間は、日本や世界中の各地でも見られる半屋外空間ですが、やはり上の写真のような"ほとんど室内だけど実は屋外"という空間は、非常に珍しいものです。
スリランカ最良の美点の一つです。
しかもここは元々ホテルではなく、BAWA本人の住宅であったため、通常体験できる空間ではありません。私邸に招かれたような特殊な感覚です。
"屋外リビング・ダイニング"から眺める景色も特別なものです。
稲妻のように低く広がる樹形と、白くまだらな樹皮が独特な樹木が、額縁の中の絵画のような印象的なアイキャッチとなり、その向こうには高台から眺める川の水面とジャングルが壮大で、あまりにも美しい眺めとなっています。
この場所をこのような形で眺め、過ごすためだけにLUNUGANGAの全ては作られたといっても過言ではありません。
自然を眺め、体験するための建物です。
さらにこの場所で食べる食事は、これまでに経験したことの無い、あまりにも特別な体験でした。
空間ばかりでなく、料理もすばらしいのです。
食事は基本朝昼晩カレーなのですが、様々な種類のカレーと具のバリエーションが多く、これがなぜかいくら食べてもおいしく、飽きさせません。

パパイヤ・マンゴーなどの採れたて切りたての現地のフルーツもあまりにもおいしく、他のどんなゴージャスなホテルと比べても、この場所で食べるこの食事が、最高のスリランカ文化体験であったと断言できます。
まさにBawaの考えるスリランカの理想郷が、一般に開放されているのです。
LUNUGANGAにはあまりにも見所がたくさんありすぎるので、次回に続きます・・・。


次はLUNUGANGAの夜です。
夕暮れ時からは、さらに独特な空間となります。
上の写真は、メインリビングの入口で、入口にふさわしい求心的な構成です。
2つの灯りは、建築家の自邸らしく、イタリアの古代遺跡を描いたピラネージの版画を照らしています。
アプローチには、日本の茶室の待合いのような空間に光が灯されます。
丁寧にデザインされた階段と相まって、招き入れるような雰囲気を形成しています。

敷地に踏み入れる際の説明では、wifi(インターネット回線)は無いけど、電気・ガス・水道もしっかりしてるし、管理人も何人か住み込みだし、何も心配ない、とのことだったのですが、夜になってみると、なんと停電。
心配が現実のものに・・・。

ジャングルの真ん中の孤立した民家で、電気がなくお湯も出ず、外では様々な動物の鳴き声ばかり・・・。
川の向こうを眺めても見渡す限り街の光も無くなり、真っ暗。街中停電のようで、遠くの車のヘッドライトのみが時折輝くばかりです。
敷地内は広大でゲストルームは全て離れとなっているのですが、外は完全な真っ暗闇で、歩くこともままなりません。

もう恐くて部屋にはいられないので、リビングに集まってくると、ろうそくとランタンの明かりで何とか最低限の明かりは灯してくれました。
見知らぬ土地の停電で、ジャングルと様々な動物に暗闇で囲まれ、はじめは恐いばかりだったのですが、ろうそくのゆれる灯りに照らし出されるLUNUGANGAはなんと幻想的なことでしょうか。
我々世代ではほとんど経験したことの無い、前近代的生活に戻ってしまいました。
慣れてくるとろうそくの明かりだけでも十分な明るさです。
しかも外に出ると明かりが一切無いせいで、空いっぱいの星空が圧巻でした。
いつのまにか非常に素敵で貴重な体験となってしまいました。

いつまでも続くかと思った停電は幸い1,2時間で終わり、光が戻りました。
管理人は滅多にないことだと言っていましたが、本当でしょうか・・・。
普段はあってあたりまえの"電気"のありがたみを強烈に感じました・・・。

照明が回復すると、非常に素敵で快適なリビングルームに戻りました。
ここでも天井に明かりは無く、リビングはスタンドライト3つばかりの光でドラマチックに照らし出されます。
写真では明るく見えますが、実際には広大なリビングルームに3つのスタンドライトではかなりうす暗いのですが、目の高さを照らしているためか十分な明るさに感じます。
停電時のろうそくの光と比べると、それはもう猛烈に明るく感じます。

Bawa建築に繰り返し登場する"蛇"のモチーフの絵がぼんやりと照らし出され、アンティーク家具と一緒になって何やら凄みが出ています。
アウトドアのリビングルームは、植物が照らされて夢の中のような空間となっています。
植物はライトアップすると鮮烈な葉の色が透過して緑色が強調され、さらに照らし出された葉の影が天井に映り込んでドラマチックな効果を持ちます。
隅にぶら下げられたルイスポールセンの名作照明アーティチョークも、植物と似たような形と照明効果で、完全に同化しています。
ここではさらに青色の光を加えることで、緑と青の幻想的な空間となっています。青い光は水のイメージでしょうか。
次は外部とゲストハウスです。
写真は、Bawaが毎日朝食を食べながらのんびり過ごしたお気に入りの席です。
宿泊したゲストハウスはこちらで、Gatehouse Suiteです。
広大な敷地入口の管理人小屋を転用してゲストハウスとしたようです。

室内はホテルというよりは住宅らしい素朴さで、ベッドカバーや枕上のファブリックパネルまであわせてコーディネートされています。

あくまでホテルでなく個人邸のゲストルームのためか、初めて来た海外の場所なのに、自分の家のように落ち着きます。
ずっと泊まっていても良いような雰囲気です。

翌日はガーデンツアーがあり、敷地全体を隅々まで解説つきで案内してくれます。
広大な敷地内は隅々までデザインされ、チリ一つ無い状態に維持管理されています。


広大な庭園内には、彫像やベンチ等のほか、バワ自身のためのパビリオンや、アートスペース・ゲストハウスが点在します。

下の写真は、バワが過ごしたパビリオンです。
古い納屋を改築し、国内外で見つけてきたアートやアンティーク家具や古い材料を持ち込んで作られた空間。
生前にBawaが通ったという街中のアンティークショップも訪れてみましたが、品揃えは民族的なアイテムから西洋のアンティーク、また仏像や宗教的なドローイング等、様々な国や宗教・時代の文物に及び、古くから交易都市として栄え、西洋列強の植民地とされたスリランカの歴史からか、あまりにも多様で雑多な品揃えでした。

ルヌガンガにおいても、国籍・宗教を問わずBawaによって選び抜かれた多国籍な古物が雑多に集められているのですが、不思議と全体としては違和感無く調和しています。

厳選されたアートや家具と、手入れの行き届いた庭園、すばらしい湖の眺めにより、まさに個人的な理想郷を築き、親しい人を招きつつ豊かな生涯を過ごしたようです。

外部に戻り、大きなバンブーと、バタフライ型にデザインされた睡蓮の咲き乱れる池を見下ろします。
大きなバンブーは日本のモウソウチクなどとそっくりですが、一塊に集まって生え、日本のタケのようには広がらないようです。
こちらでもやはりタケノコも食べるそうで、親しみが湧きます。
庭園内には、バワが朝ごはんを食べる場所、午後を過ごす場所、夕日を眺める場所等が決まっていて、それぞれお気に入りの場所にテーブルとイスがセットされており、必ず使用人を呼ぶための鐘が設置してあります。

老人になったバワは電動カートで自分でつくった庭を動き回り、お気に入りの場所から使用人を呼んでお茶や食事を持って来させて楽しんでいたようです。
やりたい放題の老人ですね・・・。

高台から水辺に下りていく階段を下ります。
何気ない階段も、ローマ遺跡のようにデザインされています。
水辺に近づくと市松模様に舗装された船着場があるのですが、湖岸には野生のワニがなぜか口を開けています。
全く動かないため、銅像にも見えます・・・。

小さく見えますが、長さが2m近くはあるため、かなり恐いです。人は食べないそうですが・・・。
ゆっくりと近づいてみると・・・、意外と俊敏に水の中に消えてしまいました。

バワの庭はおそろしく広大で、敷地内には水田もあり、公共の道路も入り込んでいます。
道路は谷間を通して全く目に触れないようになっている他、敷地内からは湖の景色や芝生・水田の美しいグリーン以外、一切目に入らないように計画されています。

こちらは北側の斜面を利用してつくられた、アートスペース。
斜面に沿ったおもしろいつくりの建物なので、てっきりバワが独自にデザインしたのかと思いきや、こちらも納屋を転用したとのこと。

室内も階段状です。ゲストルームにアートスペースが付随している、贅沢な空間。
元はアーティストの友人が泊まる部屋だったようです。

こちらの階段も、ローマ遺跡のようなデザインです。
庭園の構造物は主にイタリア式庭園からインスピレーションを得ているようです。

下は庭園のはずれにある、景色を眺めるためのパヴィリオン。

緑に覆われて既に遺跡のようになっています。

バワ建築やスリランカの建築物で印象的なのは、アウトドアの部屋です。
スリランカでは常夏の気候のためかアウトドアリビングが非常にポピュラーなようで、室内のリビングのような設えでソファーなどもある半屋外空間のような居心地の良い場所が、個人住宅にもリゾートホテルにも充実しているのです。
日本では虫が来るとか、汚れるとか冬寒いなどの理由でなかなか実現できない空間ですが、スリランカ建築の一番気持ちの良い場所は、間違いなくこの"アウトドア・リビングルーム"です。

敷地内を全部見て回るだけでも半日を要するほどの広大さでした・・・。見所がありすぎて、紹介しれないほどです。

LUNUGANGAは、何か一貫した建築的なポリシーやコンセプトに基づいて、統一的に建設された施設ではありません。
これまでに世界各地で築かれてきた建築家の自邸とは全く異なり、建築"作品"と言えるようなものでもありません。
一人の個人の趣味や気分に基づき、数十年の時間をかけて徐々に形成された"場所"。
古い民家と、アートとアンティーク、周囲の緑、野生の動物、湖の景観、それに地元の食材を用いたおいしい食事が渾然一体となって取り囲み、五感を延々と楽しませてくれる、ひたすら気持ちが良い場所なのです。
多くの場合、ミニマムで厳しくつらい環境のことが多い"現代建築"では体験したことの無い、強力な空間の気持ち良さで、ただただいつまでもここで過ごし続けたくなってしまいます。
まるでアーユルヴェーダ(オイルマッサージ)を何時間も延々とつづけているような、空間の気持ち良さです。

日本でも、このような個人の楽しみのために贅を尽くして築かれた最高峰のヴィラとしては、桂離宮や修学院離宮が挙げられますが、LUNUGANGAはそのような世界的な歴史的遺構に匹敵する最高峰の空間に個人が宿泊できるという、あまりにも贅沢な場所です。

高級なリゾートホテルというよりは、世界最高峰のヴィラの一つに宿泊できるのです。
どんなにお金を出しても得ることのできない、贅沢な空間がここにあります。

絶対に、また来ます。


LUNUGANGA  GEOFREY BAWA TRUST
http://www.geoffreybawa.com/lunuganga-country-estate/introductionpage