FURUKAWA DESIGN OFFICE

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COLUMN 家づくりコラム

リビングルームのデザイン-1

今回はリビングルームのデザインについてです。
家を設計する際は、リビングルームのイメージや快適さが、その家の特質そのものとなるため、家の中心として当然最重要視しています。

さまざまな家や空間を設計させていただいているうちに、理想とするリビングルームのイメージのようなものが徐々に形成されてきたので、記しておきたいと思います。

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リビングルームのつくり方についても、キッチンと同様3つほど原則のようなものがあると考えています。

1つめは、"リラックス"できること。

"心が静かに落ち着く場所"がリビングルームの理想です。
そのために最も大事だと考えているのは、リビングのプランニングです。
敷地全体のうちでどこに座る場所を据えて、どこを眺めさせるかという大きなプランニングが、家全体の快適性を最も大きく左右します。

落ち着くリビングルームとして最も良い状態だと考えているのは、ソファを壁で囲い込まれるように配置して、背後や脇に人の通行が無いようにし、前面を大きく開く、という下の写真のような状態です。

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通路や他の機能とのつながりも重要で、とにかく休む場所の周囲と上方で人が動き回らないようにするプランニングとする必要があります。

人は、自分が座っている背面やすぐ隣を他の人が通るような場所では、決して落ち着くことはできません。混んでいる喫茶店等でざわざわとして落ち着かない気持ちになるのは、騒音のせいもありますが、背後やすぐ隣を人が動いたりするためです。
見えない背後でものが動くと、ゴルゴ13でなくとも人間は本能的に警戒してしまうのです。

逆に背面を囲って前面を開くと非常に落ち着くのは、背後の安全を確認できて、前面の様子を全て把握できるためではないかと思います。
どうやら人間にもいくばくかの野生が残っているようです。
生活空間においても、背後と両面を囲い込むことで、完全に独立した落ち着きのあるスペースとすることができるのです。

そのためには、通路の位置に非常に気を使います。
下の写真のリビングでも、窓側が通路で、壁側がソファです。ソファのすぐ傍に日常動線がこないようにプランニングしています。
また、リビングにある階段も同様にソファの周りを通らないようにしています。
ダイニングテーブルやソファーのすぐ上を階段や2Fの廊下が通るのも望ましくありません。

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下の写真は、以前に紹介した野尻湖のホテルEL BOSCOですが、理想の空間の一つだと考えている部屋です。
この場合は部屋の突き当たりにリビングスペースが用意されているため、ソファの背面は壁で、両側と背後に動くものはなく、窓面が大きく開かれています。
大きな窓面に対してソファは横向きに設置されているため、窓の外を眺めるリラックスチェアが別に用意されています。
このようなソファ・チェア・窓のレイアウトの関係も理想的な状態の一つです。
落ち着くレイアウトを実現する方法はたくさんあると考えられますが、探してみると、意外と実際に実現されているホテルの部屋やリビングルームというのはなかなか無いものです。
小さな部屋ですが非常に快適で、一日中でも静かに過ごせる空間です。

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下の写真は同じホテルのカフェ空間ですが、ここでも設計者によって同様な目的が貫かれています。
左側に見えるソファ席がおそらく最も快適な座る位置で、奥まった位置に壁を背にして、大きなガラス面の外の景色を眺めながら座ることができます。
また、大きなガラス面際の席も明るく快適な席です。
このようなレイアウトの空間では、人は非常にリラックスして快適に過ごせるため、ついつい長居をしてしまうものです。

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2つめは、"広さ"です。

快適な場所は、乱暴な話ですが、ある程度"広い"場合が多いです。
広さにも部屋の面積が広い場合もあれば、高さ方向に広い、また窓面が広い等、様々な広さがあります。
いずれの場合でも、"通常よりも広い"ということが重要で、"明るく広いリビングルーム"と感じられるとダイレクトに気持ちのよさや快適さにつながります。

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なるべく広くリビング空間を確保するということはもちろんですが、特に高さ方向に広げると、効果は大きいものです。
上下の写真のリビングルームは、一般的な天井高さから60センチ~1mほど高いだけですが、天井いっぱいに窓面を確保すると、非常に大きな空間の広がりを感じられ、明るいリビングルームとなります。

しかもただ明るいだけではなく、冬場は直射日光が入る間は部屋の置くまで日が差すため非常に暖かく、夏場は庇があればほとんどの直射日光を遮れ、温まった空気は上がっていくため、非常に涼しくなります。
一方、部屋を大きくしすぎると暖房・冷房の際に不利になるため、大きくしすぎないように配慮したり、床暖房等で補うようにも考えます。

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下の写真のリビングは縦方向に広いリビングで、上空は寝室や書斎ともつながり、太陽の光は上空からも差し込んできます。

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縦方向に空間を広げると、面積以上の広がりを感じることができます。
また、上下のつながりが密接になり、家全体の一体感を圧倒的に感じられます。

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また、リフォーム等で通常の天井高さの場合も、天井までと壁面全体に窓を広げると、大きな開放感と明るさが得られます。
快適なリビング空間をつくるためには、開放感と明るさの果たす役割は非常に大きなものです。

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3つめは、"庭"です。

明るくリラックスできるリビングルームに座って、正面に相対するものは、"庭"か"自然"であることが理想であると考えています。
大きなテレビではなく。

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また、リビングルームと庭はダイレクトにつながっていることが当然望ましいです。
すぐに外に出て過ごせるようにすることで、庭もリビングルームの一部となります。

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隣地との狭間の小さな庭であっても、リビングとつなげることで、中も外一体の大きな空間として体感できます。

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また、密集市街地で地上にリビングと庭のつながりが確保できない場合等でも、中庭をつくったり良い"眺め"を確保することで、同様な快適さを実現することができます。

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以上のように単純なたった3つの要素だけでも、リビングルームとして実現するのは簡単ではありません。
通常の街並みや住宅の中では滅多に見ることのできない空間です。
自分が設計する場合でも毎回敷地・立地・経済条件等が異なるため、それぞれに方法は異なるのですが、可能な限り実現して快適なリビングルームをつくりたいと考えています。

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次回はリビングルームを形成する、その他の重要な要素について書いてみたいと思います。